しほこの暮らし

40代 不妊治療と日々の生活のあれこれを綴っています。

デザインの模倣はどこまで許容されるのか?

今週は、新宿のビックカメラに行ったついでに、久しぶりに”GU(ジーユー)”に

行ってきました。

そこで、私にとって衝撃的なものを目にしてしまいました。

去年の夏に、”Tomorrowland(トゥモローランド)”という国内ブランドで買った

カットソーと同じようなデザインのカットソーが販売されていました😨

正直な心の第一声

「”GU(ジーユー)”ちょっと酷すぎるよ。丸パクリやん・・・。」

しかも価格は10分の1以下・・・ 😣

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上は、”Tomorrowland(トゥモローランド)”のカットソーで、

下が、”GU(ジーユー)”のカットソーです。

店頭で見たときは全く一緒かと思いましたが、よく見るとレースのデザインは少し

違いますね。

けれど、瞬間的に同じものだと思ってしまったという事実が重要で。

人は、細かなレースのディテールなんて見ませんし、

一見すると同じように見えるので、着にくくなりますよね・・・😅

 

洋服は、そもそもパリやミラノで発表されたハイブランドの洋服を

海外ブランドが模倣し、それを見た日本人のデザイナーが模倣し、

それを見た量販店のデザイナーが模倣するという文化で成り立っています。

なので、もちろん模倣は全然ありなんですが、その限度が重要ですよね。

今回はレースというすごく特徴的な部分の形状があまりにも似ていたので、

全く同じように見えてしまいました。

 

全てを同じにすることは許されないので、

きちんと、不正競争防止法2条1項3号という法律により、

新商品の外観デザインは保護されていて、丸パクリ行為を禁じています。

概要

 不正競争防止法2条1項3号[条文抜粋]は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡したり、貸し渡したりすることを禁止しています。

 この規定の趣旨は以下のとおりです。すなわち、ある事業者は、通常、多大の時間、コスト、労力を投じて商品形態をデザインします。ところが、第三者がこれにフリーライド(ただ乗り)して模倣した形態の商品の販売が許されるとすれば、デザインをした事業者は開発費が回収できず、逆に開発費をかけていない模倣者が低い価格で販売できることとなって、公正な競争秩序が阻害されてしまうという弊害が生じるおそれがあります。そのため、不競法2条1項3号が定められました。

保護される期間

 不競法2条1項3号によつて保護される期間には制限があります。具体的には、模倣の対象となった他人の商品が最初に販売された日から3年間です(不正競争防止法19条1項5号イ[条文抜粋])。

 不競法2条1項3号の趣旨の一つに、商品形態をデザインした事業者の開発利益の保護にある訳ですが、上の保護期間があまりに長いと、かえって公正な競争を害し、開発者の利益の保護が過度になることから、通常のデザインコストの回収期間なども考慮した、3年という比較的短い保護期間が定められています。

禁止の対象となる「形態模倣」の内容

 不競法2条1項3号の「模倣」とは、「他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」(同法2条5項[条文表示])をいいます。

 すなわち、同条項が禁止しているのは、「他人の商品の形態に依拠」した、意図的な模倣であり、たまたま形態が似てしまった場合は対象外です。

 また、この規定は、「実質的に同一の形態」、すなわち「デッドコピー」又は実質的にこれと同視できるものを規制するものであり、形態が似ている(類似)場合まで禁止するものではありません。

引用:商品形態模倣行為(不競法2条1項3号) - 弁護士法人クラフトマン IT・技術・特許・商標に強い法律事務所(東京丸の内・横浜)

 

「実質的に同一の形態」とは分かりにくいですね・・・。

この点について、以下のサイトで詳しく説明がありました。

 

では、具体的にどのくらい似ていれば、不正競争防止法2条1項3号が禁じるパクり行為にあたるのだろうか? 実は、この点について、法律上は「模倣とは実質的に同一であること」と定められているだけで、具体的な基準は示されていない。裁判所が具体的な基準を示していればその基準によることになるが、実は裁判所も明確な基準は示していない。残念ながら、「パクりかどうか」を判断する明確な基準は存在しないのが実情だ。

 しかし、これまでの裁判例から、一定の判断傾向を読み解くことはできる。あくまで目安にとどまるものの、その商品を買う需要者の目を引く特徴的な部分が共通しており、需要者にとって同じ商品との印象を与える場合には、実質的に同一だと判断されやすい。逆に、需要者に別の商品との印象を与える場合には、実質的同一性は否定されることになる。色や柄が異なる場合にも、目を引く特徴的な部分が共通していて、需要者には色違いや柄違いにしか見えない場合には、実質的に同一だと判断されやすいようだ。

 全体として同じ商品の印象を与えるか、目を引く特徴的な部分が似ているか、その他に共通した部分があるか。これらが判断の視点になる場合が多い。

 ザ・リラクスとザラの事件に話を戻そう。問題の商品は、スポーティーなフード付きブルゾンで、シンプルかつカジュアルなデザインである。詳細は割愛するが、裁判所は表面から見たときのシルエットや形といった基本的な形を比較検討した後、比翼部分のステッチやポケットフラップの形状、袖のベルトの形やボタンの配置といった、特徴となりうる具体的なディテールについて細かく比較検討している。また両者の違いについても検討した上で、需要者がこれらの違いを直ちに認識することはできないと述べている。結論として「実質的に同一である」、つまり"ザラはザ・リラクスの商品をパクった"と判断したのである。

 そもそもファッションは、模倣し模倣されることで発展してきたとも言える。伝統的で普遍的なアイテムやディテールといった、誰かが生み出した基本形をベースに、新しさや自分らしさを加えることで新鮮なスタイルを創り出してきたのがファッションだ。クリエイティビティを付加する前提で模倣することはファッションの姿勢であり、それを禁じることはファッションの発展を阻害することになる。

 しかし、誰かが工夫して創り出したデザインをそのままパクるのは、前述の模倣とは全く別モノ。それは単なるフリーライドにすぎず、誰かのクリエイティビティを搾取することにほかならない。ザ・リラクスとザラの事件は、許される模倣と、決して許してはならないパクりの境界線について、現代の裁判所のスタンスを示したものといえそうだ。

引用:ファッションデザインのパクりを防ぐにはどうしたらいいか? (FASHIONSNAP.COM) - LINEアカウントメディア

 

上記にあるように、 ザ・リラクスがザラをブルゾンのデザイン模倣で訴え、

勝訴しています。

 「ザ・リラクス(THE RERACS)」を手掛けるザ・リラクスがザラ・ジャパンを相手取り、「ザラ(ZARA)」が「ザ・リラクス」のコートの形態を模倣し販売したことが不正競争防止法上の不正競争行為に当たるとして、約7000万円の損害賠償請求を申し立てていた件について、東京地方裁判所がザラ・ジャパンに1041万7282円の支払いを命じていたことがわかった。両社ともに控訴せず、判決は確定している。

 今回の件を受け、ザ・リラクスの倉橋直行・社長と倉橋直美デザイナーは「今回の判決によって、アパレル業界全体の知的財産に対する知識と不正競争防止法の存在する意味や今後の法律の進化を含めて、『ZARA』はもちろんであるが、弊社およびアパレル業界全体および生産背景が、継続可能ないい会社およびブランド作りを心掛けないければいけない時代であると強く感じている」と話す。

今回の事案について裁判所は、両社のコートにはいくつかの相違点があることは認めつつも、「基本的な形態から細部の形態に至るまで多数の共通点が認められ、その形状はほぼ同一であるといえる」と判断。また、争点になっているコートが一般的にミリタリーパーカと呼ばれるファッションアイテムでありふれた商品に該当することは認めたが、「ザラ」が販売した“「ザ・リラクス」のコートの特徴を有するミリタリーパーカ”は、「偶然に一致することは考えがたい」とし、両社のアイテムの販売時期からザラ・ジャパンが「ザ・リラクス」の当該商品の「形態を把握することは十分に可能であった」と判断した。

引用:日本発「ザ・リラクス」が巨大SPAブランド「ザラ」に勝訴 「ザラ」がコートの形態を模倣│WWD JAPAN

 

私はファッション業界ではありませんが、物作りをする仕事に関わっているので、

こういうことには余計に敏感になってしまいます。

デザインというのは難しい世界ですが、模倣の中にもオリジナリティーを加え、

差別化したものを作り出さないといけないと思います。

一般消費者をがっかりさせないように、自身のブランドの信用を落とさないためにも。